懸垂は順手と逆手どっちから?初心者が練習で逆手を使っていい理由と、順手で1回を目指す考え方

懸垂のバーを両手で握る手元

「懸垂って、順手と逆手のどっちでやればいいの?」
「逆手のほうが上がりやすい気がするけど、それでもいい?」

懸垂を始めると、握り方で迷う人は多いと思います。この記事では、順手と逆手の違いを研究をもとに整理し、このサイトでの考え方をまとめます。

結論:1回の目標は順手。練習では逆手を使ってもいい

このサイトでは、基本は順手と考えています。PULLUX(懸垂力の測定)も順手で測り、「順手で1回」を懸垂達成の目安にしています。

一方で、逆手は上腕二頭筋(力こぶの筋肉)がより働く握り方です。だから、練習のときは逆手を使ってもかまいません。どちらかを強くすすめて、もう一方を禁止するということはありません。

順手と逆手の違い

順手(オーバーハンド)逆手(アンダーハンド)
手の向き手の甲が自分のほうを向く手のひらが自分のほうを向く
よく呼ばれる名前プルアップチンアップ
特に働く筋肉背中の筋肉背中の筋肉に加えて、上腕二頭筋がより働く
このサイトでの使い方測定と、1回の達成の目安練習で使ってもよい

なお、このサイトですすめているサムアラウンドは、親指をバーに巻きつける握り方のことです。順手・逆手(手のひらの向き)とは別の話で、どちらの向きでも親指は巻きつけます。

研究でわかっていること

  • 順手と逆手で筋肉の働きを比べた研究では、逆手のほうが上腕二頭筋がよく働いた一方、広背筋(背中の大きな筋肉)の働きには大きな差が見られませんでした(Youdas et al., 2010)。
  • 手の向きを変えた懸垂を比べた別の研究でも、全体として筋肉の働き方は似ていたと報告されています(Dickie et al., 2016)。
  • 懸垂でバーにかかる最大の力も、順手と逆手で大きな差は見られませんでした(Emerson et al.)。くわしくは懸垂の負荷は何キロ?で紹介しています。

つまり、どちらの握り方でも背中はしっかり使います。違いは、逆手のほうが腕の力(上腕二頭筋)も使いやすいことです。

逆手のほうが上がりやすく感じるのはなぜ?

懸垂0回の人がバーを逆手で握ると、「順手より少し上がる気がする」と感じることがあります。理由の一つは、上腕二頭筋の性質です。

上腕二頭筋は、肘を曲げるだけでなく、手のひらを上に向ける動きにも関わる筋肉です。そのため、手のひらが自分のほうを向く逆手のほうが、肘を曲げる力に参加しやすくなります。先ほどの研究でも、逆手のほうが上腕二頭筋がよく働いていました。

ただし、感じ方には個人差があります。順手のほうが引きやすい人もいます。どちらが上がりやすいかは、実際に両方を試して確かめるのがいちばん確実です。どちらで上がりやすくても、背中の筋肉はどちらの握り方でも使っています。

なぜ、基本は順手なのか

理由は、ゴールをはっきりさせるためです。このサイトでは、PULLUXの測定を順手で行い、「順手で1回」を懸垂達成の目安にしています。測るたびに握り方が変わると、数字が伸びたのか、握り方が変わっただけなのかがわからなくなるからです。測定のルールはPULLUXの測定方法にまとめています。

STEP別:どちらの握り方で練習する?

このサイトの懸垂達成ロードマップに合わせて、握り方の目安をまとめました。迷ったら順手。順手ではきついときに、逆手を使うと考えてください。

STEP基本の握り方逆手を使ってもいい場面
STEP00 足つきぶら下がり順手手のひらが痛い・握りにくいときに、ぶら下がる感覚に慣れるため
STEP01 デッドハング順手順手で時間が伸びないときに、ぶら下がる時間をつくるため
STEP02 スキャプラ・プルアップ順手順手だと肩甲骨の動きがわかりにくいとき
STEP03 インバーテッド・ロウ順手慣れてきたら、日によって逆手を混ぜてもよい
STEP04 トップホールド順手順手では上で止まれないときに、「上の姿勢」を体験するため
STEP05 チューブアシスト順手順手でフォームが崩れるときに、引く動きを覚えるため
STEP06 ネガティブ・プルアップ順手順手でゆっくり下ろせないときに、下ろす動きを覚えるため
PULLUX測定・1回の挑戦必ず順手使わない

逆手で練習した日も、PULLUXの測定と、1回の挑戦は順手で行います。逆手だけで練習を続けるのではなく、順手の練習も入れて、最後は順手で1回を目指しましょう。

握り方の基本:親指まで巻いて、手首をまっすぐ

順手でも逆手でも、握り方の基本は同じです。懸垂0回の段階では、握り方が安定しないだけで、ぶら下がる時間や引く力が出にくくなります。

  1. 手幅を決める:このサイトの練習では、肩幅より少し広めが基本です。逆手は肩幅くらいにすると握りやすくなります。
  2. 親指まで巻きつける:親指をバーの下から回して、ほかの指と向かい合わせにします(サムアラウンド)。
  3. 手首をまっすぐにする:手首が大きく反ったり曲がったりしないように、前腕とまっすぐにそろえます。

背中より先に握力が切れてしまう人は、デッドハングで握る力を育てるのが基本です。手の痛みで練習が続かないときは、パワーグリップを使う方法もあります。手のひらや指の付け根が痛むときの対処は、懸垂で手が痛いときの記事で場所別に紹介しています。

順手の1回へ、どう切りかえる?

逆手で練習していると、「いつ順手に戻せばいいの?」と迷うかもしれません。このサイトでは、次の考え方をすすめています。

  • 同じ日に両方やるなら、順手を先に:体が疲れていない状態で、目標の握り方を練習するためです。
  • 逆手で上がれたら、その日のうちに順手でも試す:1回にならなくても、どこまで上がれたかを確認します。
  • 進み具合は順手のPULLUXで見る:握り方をそろえて測ると、数字の変化が力の変化を表すようになります。記録のつけ方は懸垂0回の練習記録のつけ方を参考にしてください。

握り方を変えたときの注意

逆手に変えたときに、肘の内側や手首に痛みや違和感が出る場合は、無理をせず順手に戻してください。痛みが続くときは、肘が痛いときの記事も参考にしてください。

懸垂で働く筋肉の全体像は、懸垂で効く筋肉の記事を参考にしてください。

まとめ

  • このサイトでは、基本は順手。PULLUXも順手で測り、「順手で1回」を目標にする
  • 逆手は上腕二頭筋がより働くので、練習で使ってもよい
  • 研究では、順手と逆手で背中の筋肉の働きに大きな差は見られていない
  • 逆手で練習しても、測定と1回の挑戦は順手で行う
  • 握るときは親指まで巻きつけ、手首をまっすぐにする
  • 逆手で肘や手首に痛みが出たら、順手に戻す

よくある質問

Q
逆手で1回できたら、懸垂ができたことになる?
A

逆手で1回できたのは、大きな前進です。ただ、このサイトでは、PULLUXの測定と同じ順手で1回を、懸垂達成の目安にしています。逆手で上がれたら、次は順手での1回を目指しましょう。

Q
手幅はどれくらいがいい?
A

このサイトの練習では、肩幅より少し広めを基本にしています。手幅を自由に決められる器具だと、自分に合う幅を見つけやすくなります。

Q
手のひらを向かい合わせにする握り方(パラレルグリップ)は?
A

パラレルグリップも懸垂の握り方の一つです。ただ、器具によってはできないものもあります。このサイトでは、測定と1回の目標は順手にしています。

Q
順手と逆手を同じ日に練習してもいい?
A

かまいません。その場合は、目標にしている順手を先に行うのがおすすめです。疲れる前に、いちばん大事な握り方を練習できます。

Q
バーの太さで握りやすさは変わる?
A

変わります。細いバーは握り込みやすく、太いバーは手のひらに当たる面が広くなります。わたしは鉄棒型(WASAI BS312-X)を使っていて、タオルを巻かずに素手で握っています。器具の選び方は懸垂スタンドと鉄棒型の比較にまとめています。

参考文献

  • Youdas JW, Amundson CL, Cicero KS, Hahn JJ, Harezlak DT, Hollman JH. (2010). Surface electromyographic activation patterns and elbow joint motion during a pull-up, chin-up, or perfect-pullup™ rotational exercise. Journal of Strength and Conditioning Research, 24(12), 3404–3414.
  • Dickie JA, Faulkner JA, Barnes MJ, Lark SD. (2016). Electromyographic analysis of muscle activation during pull-up variations. Journal of Electromyography and Kinesiology, 32, 30–36.

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