懸垂の筋肉痛はどこに出る?背中・前腕・首が張ったときの休み方と再開の目安

懸垂の筋肉痛 休み方と再開の目安

懸垂の練習を始めると、翌日や翌々日に、背中や腕、首のあたりが張ってくることがあります。「このまま練習していいの?」「痛めたのでは?」と不安になる人も多いと思います。

わたしも懸垂を始めたころ、背中(脇の下のあたり)・首・前腕に張りが出ました。張りがある日は懸垂をせず、完全に休んでいました。引くまでの日数は、2日ほどのときもあれば、1週間近く続いたときもあったと思います。

この記事では、筋肉痛についての研究をもとに、懸垂で筋肉痛が出やすい場所、休み方、再開の目安をまとめます。

この記事の結論

  • 筋肉痛は運動の1〜3日後に一番強くなり、長くても1週間ほどで引く
  • 張りが強い日は、無理に懸垂をしない
  • 関節の一点が鋭く痛む、1週間以上引かない、尿の色がおかしいときは、筋肉痛ではない可能性がある

※痛みの出方には個人差があります。強い痛みや長引く痛みがあるときは、医療機関に相談してください。

懸垂の筋肉痛は、運動の1〜3日後に出る

運動してすぐではなく、時間がたってから出る筋肉痛は「遅発性筋肉痛」と呼ばれます。筋肉痛の研究で知られる野坂和則氏のまとめでは、痛みは運動後24〜72時間ごろに最も強くなり、長くても7日ほどで消えていくとされています(Nosaka, 2008)。

わたしの「2日ほどで引いたときもあれば、1週間近く続いたときもある」という経験も、この範囲に入っています。

ネガティブ懸垂のあとは、特に出やすい

筋肉痛は、筋肉が伸ばされながら力を出す動き(エキセントリック収縮)で最も起こりやすく、筋肉が縮みながら力を出す動きではほとんど起こらないとされています(Nosaka, 2008)。

懸垂でいえば、ゆっくり体を下ろすネガティブ懸垂がこれにあたります。ネガティブ懸垂を始めた直後に張りが強く出やすいのは、このためです。

同じ練習を続けると、出にくくなる

同じ運動をくり返すと筋肉がすぐに慣れて、2回目以降は筋肉痛が出にくくなります。これは「繰り返し効果」と呼ばれ、その効果は少なくとも数週間続くとされています(Nosaka, 2008)。

始めたばかりのころが一番張りやすく、続けるうちに落ち着いてくる、と考えておくと安心です。

懸垂で筋肉痛が出やすい場所

懸垂は、バーを握ってぶら下がり、体を引き上げて下ろす動きです。そのため、次の場所が張りやすくなります。

背中(脇の下〜背中の横)

広背筋という、懸垂で体を引き上げる主な筋肉です。わたしが一番張りを感じたのも、このあたりでした。

前腕

バーを握り続けることで使います。デッドハングを長めにやったあとも張りやすい場所です。

首の付け根〜肩

肩をすくめるようにして引くと、首から肩にかけての筋肉(僧帽筋の上部)にも力が入りやすくなります。首まわりばかりが張るときは、肩を下げて引けているかを見直してみてください。肩甲骨を下げる練習はスキャプラプルアップで紹介しています。

腕(力こぶ)

上腕二頭筋も、体を引き上げる動きで使われます。

筋肉痛の日は、懸垂を休む

わたしは張りがある日は、懸垂を完全に休んでいました。研究からも、筋肉痛が強い日に無理をしないほうがよい理由があります。

  • 筋肉痛があるときは、筋力や関節の動く範囲が一時的に下がることが報告されています(Cheung et al., 2003)。懸垂では、いつもの回数ができなかったり、フォームが崩れやすくなったりします。
  • 筋肉痛が残っている1週間以内に同じ負荷をかけると、直後の筋肉の働きがさらに落ちることが示されています(Nosaka, 2008)。

一方で、軽く体を動かすと、痛みが一時的にやわらぐこともあるとされています(Nosaka, 2008)。つらくない程度なら、散歩などで体を動かすのはかまいません。

筋肉痛をやわらげる方法

運動後の回復方法を比べたメタ分析では、筋肉痛をやわらげる効果が最も大きかったのはマッサージでした。冷たい水につかる、着圧ウェアを着るといった方法にも効果は見られましたが小さく、ストレッチには目立った効果が見られませんでした(Dupuy et al., 2018)。

ただ、どの方法も「すぐに治す」ほどの効果ではありません。基本は、張りが引くまで休むことです。

筋肉痛と「痛めた」は違う

筋肉痛は、筋肉の広い範囲がだるく重く感じるものです。次のような場合は、筋肉痛ではない可能性があります。練習を止めて、続くようなら医療機関に相談してください。

  • 肘・肩・手首など、関節の一点がズキッと鋭く痛む
  • 腫れている、熱を持っている
  • 1週間以上たっても痛みが引かない
  • 筋肉の強い痛みや力の入りにくさとともに、尿が赤褐色(紅茶のような色)になる

最後の項目は、激しい運動などで筋肉が壊れて起こる「横紋筋融解症」で見られる症状です。まれですが、急な腎臓の障害につながることもあるので、すぐに受診してください(MSDマニュアル家庭版)。

肘や肩の痛みの見分け方はウォーミングアップの記事、手のひらや手首の痛みは手の痛みの記事で詳しく説明しています。

筋肉痛を出しすぎない練習の組み方

  • 新しい練習は少ない回数から始める:特にネガティブ懸垂は、最初は回数を控えめにする
  • 練習は週2〜3回にして、間を空ける:このサイトのロードマップと同じ目安です
  • 練習の前後に準備とケアをする:やり方はウォーミングアップの記事で紹介しています
  • 食事でタンパク質をとる:筋肉の回復の材料になります。とり方はプロテインの記事にまとめています

再開するときの目安

次の2つがそろったら、練習を再開してかまいません。

  • 張りが引いて、腕や背中を普通に動かせる
  • 関節に痛みがない

再開する日は、いきなりネガティブ懸垂を何回もやるのではなく、デッドハングや、いつもより少ない回数から始めると安心です。繰り返し効果があるので、2回目以降は1回目ほど張らないことが多いはずです。

筋肉痛や忙しさで練習が数週間あいてしまったときは、懸垂の練習を休んだ・やめた人の再開の仕方を参考に、今の力を測ってから戻りましょう。

練習の頻度そのものの目安は、懸垂は毎日やっていい?練習頻度の目安で解説しています。

懸垂でどの筋肉が働くのかは、懸垂で効く筋肉の記事でまとめています。

まとめ:筋肉痛は休めば引く。痛めたサインだけは見逃さない

  • 筋肉痛は運動の1〜3日後に一番強くなり、長くても1週間ほどで引く
  • ネガティブ懸垂のあとは特に出やすく、続けるうちに出にくくなる
  • 張りが強い日は休み、引いたら軽めのメニューから再開する
  • 関節の鋭い痛み、1週間以上続く痛み、尿の色の変化は、筋肉痛以外のサイン

筋肉痛で休むのは、遠回りではありません。張りが引いたら、また懸垂0回から1回へのロードマップの続きから進めましょう。

よくある質問

Q
筋肉痛がないと、練習の効果はないの?
A

そんなことはありません。筋肉痛の強さは、筋肉への効果の大きさを正しく表すものではないとされています(Schoenfeld & Contreras, 2013)。同じ練習を続けると筋肉痛は出にくくなりますが、それでも筋肉は変わっていきます。

Q
筋肉痛は何日で治る?
A

運動後24〜72時間ごろに一番強くなり、長くても7日ほどで引くとされています(Nosaka, 2008)。わたしの場合も、2日ほどから1週間近くまでの幅がありました。1週間以上続くときは、筋肉痛以外の可能性もあるので、医療機関に相談してください。

Q
首だけが痛いときは?
A

肩をすくめて引いているのかもしれません。肩を下げて引く練習(スキャプラプルアップ)を見直してみてください。痛みが強いときや、腕にしびれがあるときは、練習を止めて医療機関に相談してください。

Q
筋肉痛が出なければ、毎日やってもいい?
A

筋肉痛がなくても、筋肉や関節には疲れがたまっています。このサイトでは、懸垂の練習は週2〜3回を目安にしています。

参考文献

  • Nosaka K. (2008). Muscle Soreness and Damage and the Repeated-Bout Effect. In: Tiidus PM (ed.), Skeletal Muscle Damage and Repair, pp. 59–76. Human Kinetics.
  • Cheung K, Hume P, Maxwell L. (2003). Delayed onset muscle soreness: treatment strategies and performance factors. Sports Medicine, 33(2), 145–164.
  • Dupuy O, Douzi W, Theurot D, Bosquet L, Dugué B. (2018). An Evidence-Based Approach for Choosing Post-exercise Recovery Techniques to Reduce Markers of Muscle Damage, Soreness, Fatigue, and Inflammation: A Systematic Review With Meta-Analysis. Frontiers in Physiology, 9, 403.
  • Schoenfeld BJ, Contreras B. (2013). Is Postexercise Muscle Soreness a Valid Indicator of Muscular Adaptations? Strength and Conditioning Journal, 35(5), 16–21.
  • MSDマニュアル家庭版「横紋筋融解症」

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