懸垂の負荷は何キロ?体重から計算する方法と、引き上げる瞬間は体重以上になる理由

懸垂の負荷は何キロ?体重から計算する

「懸垂の負荷って、何キロくらいなの?」

答えは、ぶら下がっているだけで、ほぼ自分の体重と同じです。さらに、体を引き上げる瞬間には、体重より大きな力が必要になります。

この記事では、懸垂の負荷を体重から計算する方法と、なぜ引き上げる瞬間は体重以上になるのか、そして懸垂0回の人が負荷を数字で軽くしながら練習する方法をまとめます。

懸垂の負荷は、ぶら下がっているだけで「ほぼ体重」

懸垂では、バーを握った手だけで体を支えます。足を地面につけて体重を逃がすことができないので、ぶら下がって止まっているとき、手にかかる重さは自分の体重とほぼ同じです。

体を引き上げるときは、腕の先(手)はバーに固定されたまま、それ以外の体をほぼ全部持ち上げることになります。このサイトでは、懸垂で持ち上げる重さを「体重のほぼ全部(およそ9割以上)」と説明しています。

引き上げる瞬間は、体重以上の力が必要になる

止まっている体を上に動かすには、体重を支える力に加えて、体を加速させる力が必要です(物体を動かす力は、質量×加速度で決まります)。そのため、引き上げる瞬間に手にかかる力は、体重より大きくなります。

バーの下に力を測る装置を置いて調べた研究では、男性が懸垂を10回行ったとき、各回の最大の力は平均で体重の約1.5倍でした(Emerson et al., 2014。学会発表の研究です)。勢いをつけず、ゆっくり一定の速さで引き上げれば、この「上乗せ」は小さくなります。

体重から計算する:懸垂の負荷の早見表

体重ぶら下がっているとき(約1倍)引き上げる瞬間の最大(約1.5倍)
50kg約50kg約75kg
60kg約60kg約90kg
70kg約70kg約105kg
80kg約80kg約120kg
90kg約90kg約135kg

「約1.5倍」は、上の研究での平均です。引き上げる速さやフォームによって変わるので、目安として見てください。

体重が1kg減れば、ぶら下がっているときの負荷も約1kg減ります。体重と懸垂の関係は懸垂と体重の関係の記事、体重が重い人の考え方は体重80kg超の懸垂の記事で解説しています。

懸垂0回の人が、負荷を数字で軽くして練習する方法

懸垂は「自分の体重」という決まった重さで行う種目なので、マシンのように重りを減らすことができません。そこで、次の方法で手にかかる負荷を軽くしてから、少しずつ体重に近づけていきます。

  • 足をついてぶら下がる(STEP0):体重計に乗ったままぶら下がると、「体重 − 体重計の数字」で、手にかかる重さを数字で確かめられます。やり方はぶら下がれない人の最初の一歩(STEP0)で紹介しています
  • 体を斜めにして引く(斜め懸垂):足を地面につけて体を斜めにすると、手で引く重さが体重の一部になります。体を立てるほど軽く、寝かせるほど重くなります(斜め懸垂の記事)
  • チューブで補助する:ゴムの力で体を持ち上げてもらい、手で引く力を減らします。上と同じ研究でも、補助ありのグループは最大の力が体重の約1.1倍と、補助なしより小さくなっていました(懸垂チューブの記事)

自分の力が、体重に対してどこまで来ているかはPULLUXで見る

懸垂の負荷は、ほぼ体重で決まります。だからこそ、「自分の力が、自分の体重に対してどこまで来ているか」を見ることが大切です。

このサイトのPULLUX(懸垂力の測定)は、ぶら下がりとトップホールドの秒数を体重で割って、懸垂1回に対する今の位置を数字にする指標です。スコアが1.0を超えることが、懸垂1回の目安になります。

まとめ

  • 懸垂の負荷は、ぶら下がっているだけでほぼ体重と同じ
  • 引き上げる瞬間は、加速させる分だけ体重以上になる(研究では平均で体重の約1.5倍)
  • 体重が1kg減れば、ぶら下がっているときの負荷も約1kg減る
  • 懸垂0回のうちは、足つき・斜め懸垂・チューブで負荷を軽くしてから、少しずつ体重に近づける
  • 自分の位置はPULLUXで数字にして確かめる

よくある質問

Q
順手と逆手で、負荷は変わる?
A

上と同じ研究では、順手と逆手で、最大の力に大きな差は見られませんでした(Emerson et al., 2013・2014)。どちらの握り方でも、負荷はほぼ体重で決まると考えてよいでしょう。

Q
ゆっくり引けば、負荷は軽くなる?
A

引き上げる瞬間の「上乗せ」は小さくなりますが、体重そのものは変わりません。勢いをつけて引くより、ゆっくり一定の速さで引くほうが、関節への急な負担も減らせます。

Q
懸垂ができれば、体重と同じ重さのラットプルダウンも引ける?
A

同じとは限りません。マシンは体を固定して引きますが、懸垂は体を空中で支えながら引くので、使い方が違います。このサイトでは、懸垂の力は懸垂に近い練習(STEP0〜6)とPULLUXで確かめることをすすめています。

参考文献

  • Emerson T, Frerichs H, Dansby A, Bruenger AJ. (2014). Measurement of peak force experienced by males during assisted and unassisted pull-ups. ISBS Conference Proceedings Archive(32nd International Conference of Biomechanics in Sports).
  • Emerson TL, Frerichs HE, Dansby AS, Bruenger AJ. (2013). Measurement of maximal force exerted by females during assisted pull-ups. International Journal of Exercise Science: Conference Proceedings, 11(1).

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