📌 この記事でわかること
- チューブアシスト・プルアップとは:チューブを足にかけて一部の体重をサポートしながら行う懸垂の補助種目。懸垂の動きを実際の感覚で体に覚えさせる
- なぜ必要か:引く力・引き切る力があっても、ぶら下がると動かない。チューブで「懸垂の感覚」を実際に体験することで神経系を開通させる
- やり方:チューブの太さで負荷調整。慣れたら細いチューブに段階的に移行し、最終的にチューブなしへ
- クリア基準:フォームを崩さず「10回」行う → 次のSTEP(ネガティブ・プルアップ)へ
「インバーテッド・ロウで引く力が付いてきた。トップホールドで身体を支える自信もついた。でも、いざぶら下がって身体を引き上げようとすると、ピクリとも動かない」
そんな壁にぶつかっていませんか?
実は、「ぶら下がった状態から身体を引き上げる」という動作は、これまでのステップとは次元の違う筋力と神経系の働きが必要になります。ここが多くの人が挫折しやすい最大の難所です。
この記事では、そのギャップを埋める最強のツール「トレーニングチューブ」を使った『チューブアシスト・プルアップ』について解説します。
この記事を読むことで、自重だけでは不可能だった「フルレンジ(全可動域)での懸垂動作」を疑似体験でき、脳と筋肉に正しい動きを記憶させることができます。

これができれば「自力での懸垂」はもう目の前です。焦らず、まずは正しいフォームを身体に叩き込みましょう!
チューブアシスト・プルアップとは?懸垂の感覚をつかむ予行演習

チューブアシスト・プルアップとは、トレーニングチューブ(レジスタンスバンド)の弾力を利用して体重の一部を補助し、本来の筋力だけでは難しい「懸垂の上下運動」を行うトレーニングです。
初心者が懸垂できない最大の理由は、単純に「自分の体重>背中の筋力」だからです。チューブを使うことで、体重の負荷を20kg~30kg(チューブの強度による)減らし、現在の筋力でも「引く」動作を可能にします。
これは、自転車に乗れない子供が補助輪を使うのと同じです。
まずは補助輪(チューブ)付きでペダルを漕ぐ(懸垂する)感覚を掴み、徐々に補助を弱くしていくことで、最終的に補助なしで乗れるようになります。つまり、筋力が足りない段階でも、正しいフォームで「身体を引き上げる予行演習」ができる唯一の方法なのです。
なぜ懸垂達成にチューブが必要か【3つの理由】
結論から言うと、「懸垂の動きそのもの」を練習できる唯一の方法だからです。
これまでのステップには、実は「足りない要素」がありました。
- インバーテッドロウ: 「引く」動きですが、方向が「横(水平)」でした。
- トップホールド: 方向は「縦(垂直)」ですが、「止まっている」だけでした。
本番の懸垂は「縦方向に」「体を動かし続ける」必要があります。 しかし、まだ筋力が足りない段階では、自分の体重を動かすことさえできません。これでは、いつまで経っても「正しいフォーム」や「力の入れ方」を脳が学習できません。
そこでチューブの出番です。 チューブが体重の一部を肩代わりしてくれることで、今の筋力のままで「未来の懸垂の動き」をシミュレーションできます。「耐える力」と「引く力」を繋ぎ合わせ、懸垂達成への最後の回路を繋ぐために、このステップは不可欠です。
チューブアシスト・プルアップの正しいやり方【ステップで解説】
正しいセットアップとフォームで行うことが、背中の筋肉に効かせ、効果を最大化させる鍵です。以下のステップで行いましょう。
STEP1:セッティング
- 鉄棒やチンニングバーにチューブをかけます。
- 垂れ下がった片方の輪の中に、もう片方の端を通します。
- そのまま下にギュッと引っ張って結び目を締めます。

STEP2:装着
- 片足をトレーニングチューブの輪の中にしっかりと入れます。
- もう片方の足を乗せます(両足で踏むことでチューブが安定します)。
- 【重要】 必ず土踏まずの深い部分にかけ、両足でしっかり踏んで固定されていることを確認してください。
- 足を伸ばすと床についてしまう場合は、曲げた膝にチューブを引っ掛ける方法に切り替えます。片足でも両足でも問題ありません。
STEP3:グリップと姿勢
- 肩幅より拳1〜1.5個分広めにバーを握ります。
- 過去記事で学んだ「デッドハング(肩甲骨をリラックスさせた状態)」の姿勢を作ります。
- 目線は「バーの少し上(斜め上)」に向けます。

STEP4:動作開始(コンセントリック)
- 息を吐きながら、まず「スキャプラ・プル(肩甲骨を寄せて下げる)」を行い、肩を下げます。
- そこから胸をバーに近づけるイメージで、「肘を腰にぶつける」ように力強く引きます。腕の力ではなく「肘で地面を強く押す」イメージを持つと、広背筋を意識しやすくなります。

STEP5:フィニッシュと戻し(ネガティブ)
- 顎がバーを越える位置(トップホールドの位置)まで引いたら、一瞬ストップします。
- 息を吸いながら、重力に逆らうように「ゆっくりと(2〜3秒かけて)」元のデッドハングの位置に戻ります。

チューブがたるむと効果が半減します。一番下まで降りた時も、常にトレーニングチューブがピンと張った状態をキープして行いましょう!
効果を最大化する注意点とNG動作
チューブアシスト・プルアップは非常に優れたトレーニングですが、やり方を間違えると「ただゴムの力で遊んでいるだけ」になってしまいます。確実に背中を成長させ、怪我を防ぐために、以下の点に注意して進めていきましょう。
注意点①:ゴムの「反動(バウンド)」は成長を奪う最大の罠
最も重要なのは、トレーニングチューブの「反動」を使わないことです。 チューブは一番下(ボトムポジション)でゴムが強く伸びるため、トランポリンのように「ビヨーン」と跳ね上がりたくなります。しかし、これではゴムの力で上がっているだけで、一番鍛えたい「初動の筋力」が全く育ちません。また、急激なバウンドは肩関節に強い衝撃を与えるため、怪我のリスクも高まります。
- ❌ よくあるNG例: 一番下についた瞬間、バネの力で勢いよく飛び上がる。
- ❌ よくあるNG例: 降りるときに力が抜け、ストンと落ちてしまう(ネガティブ動作の欠如)。
対策:反動を完全に殺す「1秒ポーズの法則」 ボトムポジションで「カチッ」と一瞬静止(1秒ポーズ)を入れてから引き始めましょう。完全に勢いを殺すことで、反動を防ぎ、純粋な「筋肉の力」だけで引くことができます。
注意点②:「毎日やる」は逆効果?回復を味方につける適切な頻度
早く懸垂ができるようになりたいからといって、毎日ハードにやる必要はないと思います。懸垂で使う広背筋などの大きな筋肉は、回復するまでに時間がかかるからです。
おすすめは、「週に2〜3回」のペースです。
頻度: 毎日ではなく、週に2〜3回(1日おき)から始めてください。筋肉と関節の回復期間が必要です。
セット数: 1回の練習で 2〜3セット が目安。セット間は2〜3分しっかり休みましょう。
チューブがきつい・上がらない場合の負荷調整方法
「チューブを使っても、上まで引ききれない……」 そんな時は、遠慮なくチューブの強度(太さ・張力)を上げてください。
- より太いチューブを使う: チューブが太い(硬い)ほど、体を持ち上げるサポート力が強くなります。
- チューブを膝にかける: 足の裏にかけるのが怖い場合や、少しだけサポート力を弱めたい場合は「膝」にかけます。ベンチや台を使って安全に乗り降りしましょう。
<ポイント> これは「軽い負荷に逃げる」のではありません。「正しいフォームで、一番上まで引ききる」ために負荷を最適化しているのです。見栄を張らず、今の自分がフルレンジできれいに引ける太さまで調整しましょう。
懸垂練習に使えるトレーニングチューブの選び方
「じゃあ、どのチューブを買えばいいの?」と迷う方も多いと思います。 結論から言うと、単体のチューブではなく、「強度が違う4〜5本セット(ループ状のもの)」を選ぶのがおすすめです。Amazonや楽天などで数千円程度で手に入ります。
なぜセット品がいいのかというと、懸垂の成長に合わせて「補助の力」を細かく調整していく必要があるからです。
- 最初は一番太いチューブ(補助:特大)でスタート まずは「正しいフォームで一番上まで引ききる」という成功体験と、神経系の回路を作ります。
- 慣れてきたら、一段階細いチューブ(補助:大→中)へ変更 少しずつ自重の割合を増やしていくことで、無理なく筋力をアップさせられます。
懸垂の練習は、この「チューブを徐々に細くしていく過程」そのものです。セット品を一つ持っておけば、その日のコンディションに合わせて「今日は少し疲れているから太いチューブでフォーム重視にしよう」といった柔軟な対応もできるので、挫折しにくくなると思います。
チューブアシスト・プルアップ何回で合格?クリア基準と次のステップ
いよいよ自重トレーニング(ネガティブ懸垂や本番の懸垂)に進むための目安です。チューブの補助があっても高回数をこなせないうちは、まだ基礎体力が不足しています。焦らず以下の基準を目指しましょう。
- 細めのチューブ(補助:弱)で + 正しいフォームで【10回 】
- 中強度のチューブ(補助:中)で + 余裕を持って【15回以上】
【この基準の意味】 ここまでできれば、背中の筋肉は自重を引くために十分に発達しており、脳にも「引き上げる動作パターン」が深く刻まれています。
この基準をクリアしたら、いよいよ補助を外す時です。さらに負荷の高い「ネガティブ・プルアップ」や、自重100%のフル懸垂に自信を持って挑みましょう!
よくある質問(FAQ)
Q. チューブアシスト・プルアップはどんなチューブを使えばいい?
輪になったループバンド(レジスタンスバンド)を使います。バーにかけてから足か膝に通すだけでOK。太いほどアシスト力が強く、細いほど自力の割合が増えます。最初は幅2〜3cm程度の太めのバンドから始め、慣れたら細くしていくのがおすすめです。
Q. 何回できれば合格?チューブを卒業する目安は?
フォームを崩さず10回連続できるようになったら合格です。チューブなしで懸垂ができなくてもOK——10回クリアしたら次のSTEP6(ネガティブ・プルアップ)へ進みましょう。
Q. チューブをかけても全然上がらない場合はどうする?
より太いチューブに変えるか、両足をかける(片足より強いアシスト)ことで対応できます。それでも動かない場合は、インバーテッド・ロウやトップホールドの段階に戻って基礎筋力を積み上げ直すのが最短ルートです。
Q. チューブアシストと普通の懸垂は同じ筋肉を使う?
使う筋肉はほぼ同じです(広背筋・僧帽筋・上腕二頭筋など)。チューブは体重の一部を肩代わりするだけなので、フォームと動作パターンは懸垂と同一です。だからこそ「本物の懸垂の感覚」を体に覚えさせる効果があります。
まとめ
チューブアシスト・プルアップは、単なる補助種目ではありません。懸垂という目標に向けた、本番さながらの「最終リハーサル」です。
【このステップの核心】
- 役割: 不足している筋力を補い、脳と体に「垂直に引く動き」をインストールする。
- 注意: 反動(バウンド)は厳禁。一番下から一番上まで、自分の意志でコントロールする。
- 進歩: チューブを徐々に「細く」していくことこそが、自重懸垂への最短ルート。
最初は極太のチューブに頼っても構いません。それは決して恥ずかしいことではなく、「正しく強くなるための戦略」です。
そのゴムの助けが少しずつ不要になっていく過程で、あなたの背中は確実に変わっています。

さあ、今すぐバーにチューブを結びつけ、最終リハーサルを行いましょう。憧れの懸垂達成は、もう目の前です!
今の自分の懸垂力を数値で確認してみましょう。

👤 著者プロフィール
SUZUKI20|38歳・2児の父・銀行員。スポーツ科学の修士号を持つトレーニーです。懸垂0回からスタートし、現在は連続20回を達成。学術的な知見と自身の体での検証を組み合わせ、忙しい大人でも再現できる情報だけを発信しています。






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