懸垂の練習を休んだ・やめた人の再開の仕方|まず今の力を測り、戻るSTEPを決める

久しぶりに懸垂バーへ手を伸ばし、もう一度握ろうとする両手

「忙しくて、懸垂の練習を3週間も休んでしまった」
「一度やめたけど、もう一回やってみたい」

練習を休むと、「せっかくの努力がゼロに戻ったのでは」と不安になります。その不安から、再開するのが怖くなってしまう人も多いと思います。

この記事では、懸垂の練習を休んだ人・やめた人が、無理なく再開するための手順をまとめます。結論から言うと、まずPULLUXで今の力を測り、そのスコアに合ったSTEPに戻るのがいちばん確実です。

休んだことを、責めなくていい

わたし自身、懸垂を一度やめています。最初に挑戦した2020年は、正しい練習の手順を知らないまま体を持ち上げようとして、1回もできないまま1週間ほどでやめてしまいました。

2023年11月に再開したときは、まず懸垂ができるようになる方法を調べ、デッドハングとスキャプラプルアップを1日おきに続けました。1回目ができたのは、始めて2週間ほどたったころです。くわしくは懸垂ができるようになるまでの期間の記事に書いています。

一度やめても、もう一度始めることはできます。大事なのは、休んだことを責めることではなく、再開したときに正しい場所から始めることです。

休んだら、力はどれくらい落ちる?

練習をやめたあとの筋力の変化は、多くの研究で調べられています。

  • 練習をやめた影響を調べた研究をまとめた分析では、休む期間が長いほど筋力は落ちやすい一方、3週間ほどまでなら、最大筋力は大きくは落ちにくいことが示されています(Bosquet et al., 2013)。
  • 筋トレを続けたあと、30週ほど休んだ女性を調べた研究では、休んでいる間に筋力は落ちたものの、再開すると短い期間で筋力を取り戻したことが報告されています(Staron et al., 1991)。

ただし、これらの研究は、ある程度の期間しっかり筋トレをしていた人を調べたものです。懸垂0回の練習をしている人に、そのまま当てはまるとは限りません。どれくらい落ちたかは人によって違うので、自分の場合は測って確かめるのがいちばんです。

再開の手順:3ステップ

ステップ1:まずPULLUXを測る

再開した日は、練習の前にPULLUXを測ります。デッドハングとトップホールドの秒数、体重を入力するだけです。

休む前の記録が残っていれば、比べてみてください。思ったより落ちていないこともありますし、落ちていても「どこまで戻ればいいか」がはっきりします。記録のつけ方は懸垂0回の練習記録のつけ方にまとめています。

ステップ2:スコアに合ったSTEPに戻る

休む前にやっていたSTEPではなく、今のスコアに合ったSTEPから始めます。スコアとSTEPの対応は、次のとおりです。

PULLUXスコア戻るSTEP
0.3未満STEP1・2(デッドハング、スキャプラプルアップ)
0.3〜0.5STEP3・4(斜め懸垂、トップホールド)
0.5〜0.8STEP5・6(チューブ補助、ネガティブ)
0.8以上STEP6(ネガティブ)と、しっかり休むこと

それぞれのスコアの意味はPULLUXスコアの見方、STEPの全体像は懸垂達成ロードマップで確認できます。

もし、バーにぶら下がること自体がきつくなっていたら、足を体重計にのせたまま負荷を軽くするSTEP0(足つきぶら下がり)から始めてください。

ステップ3:最初の1〜2週間は、量を控えめにする

休み明けは、セット数をいつもより少なめにして、1日おきくらいのペースで始めます。久しぶりの練習でいきなり以前と同じ量をこなすと、強い筋肉痛が出て、また休むきっかけになりかねません。筋肉痛との付き合い方は懸垂の筋肉痛の記事で解説しています。

休んだ期間ごとの目安

目安として、休んだ期間ごとの再開の仕方をまとめます。どの場合も、最後に決めるのはPULLUXのスコアです。

休んだ期間再開の仕方
1週間くらいまでいつもの練習に戻ってOK
1〜3週間PULLUXを測ってから、前のSTEPを少なめの量で再開
1か月以上PULLUXを測り、スコアに合ったSTEPから。最初の1〜2週間は量を控えめに
やめて何年もたつ初めての人と同じように、PULLUXを測ってSTEP0〜1から確認

また休まないための3つの工夫

① 練習を「小さく」する

休んでしまう原因の多くは、練習が負担になっていることです。忙しい日は1セットだけ、ぶら下がるだけでもかまいません。0にしないことが、続けるコツです。考え方は懸垂のマイクロアクションの記事で紹介しています。

② 数字を記録する

PULLUXを週1回測って書き残すと、少しずつ上がっていく数字が、続ける理由になります。

③ 休むことを「予定」に入れる

仕事が忙しい週や体調が悪い日は、休んでかまいません。「休んだら終わり」ではなく、「休んだら、測って戻る」と決めておけば、休みが挫折になりません。

まとめ

  • 休んだことを責めなくていい。わたしも一度やめてから再開した
  • 研究では、3週間ほどまでの休みなら最大筋力は大きく落ちにくく、再開すると取り戻しやすい
  • ただし落ち方は人それぞれなので、再開した日はまずPULLUXを測る
  • 休む前のSTEPではなく、今のスコアに合ったSTEPに戻る
  • 最初の1〜2週間は量を控えめにする
  • 「休んだら、測って戻る」と決めておけば、休みは挫折にならない

もう一度始めようと思えたなら、それだけで十分です。まずは今日、PULLUXを測定して、今の位置を確かめてみてください。

よくある質問

Q
休む前のSTEPから始めてはだめ?
A

スコアが休む前とほとんど変わっていなければ、前のSTEPから始めて大丈夫です。スコアが下がっていたら、今のスコアに合ったSTEPに戻るほうが、無理なく取り戻せます。

Q
前より数字が下がっていてショック…
A

休んだあとに数字が下がるのは自然なことです。研究でも、再開すると短い期間で戻りやすいことが報告されています。下がった数字は、どこから始めればいいかを教えてくれる目印だと考えてください。

Q
休む前は懸垂が1回できていた。どうすればいい?
A

まず1回できるか試してみてください。できなければPULLUXを測り、スコアに合ったSTEPに戻ります。できた場合は、懸垂1回を定着させるコツを参考に、1回を確実にしていきましょう。

参考文献

  • Bosquet L, Berryman N, Dupuy O, Mekary S, Arvisais D, Bherer L, Mujika I. (2013). Effect of training cessation on muscular performance: a meta-analysis. Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports, 23(3), e140–e149.
  • Staron RS, Leonardi MJ, Karapondo DL, Malicky ES, Falkel JE, Hagerman FC, Hikida RS. (1991). Strength and skeletal muscle adaptations in heavy-resistance-trained women after detraining and retraining. Journal of Applied Physiology, 70(2), 631–640.

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