「早く自分のPULLUXスコアを知りたい!」 「でも、本当にこの測り方で合っているのかな?」
前回の記事を読み、自分の可能性を数値化することにワクワクしているかもしれません。今すぐ鉄棒に飛びつきたい気持ち、よく分かります。しかし、少しだけ待ってください。
もし、測定のルールが曖昧で、自分に甘い判定をしてしまったらどうなるでしょうか? 算出された数値は、あなたの本当の実力ではなく「幻」になってしまいます。幻の数値を見て成長した気になっても、実際の懸垂はいつまで経ってもできるようになりません。
PULLUXの算出には「身長」や「性別」も必要ですが、これらは一度入力すれば変わりません。 この記事では、日々のトレーニングで変動し、かつ誤魔化しがききやすい「体重」「デッドハング」「トップホールド」の3つの測定方法と、正確な数値を出すための「時間計測」のルールについて、一切の妥協を許さない厳密な内容で解説します。
この記事を読むことで、あなたは「誰が見ても文句のない、真正な自分の実力」を数値化できるようになります。それは時に残酷な数値かもしれませんが、そこが正真正銘のスタート地点です。
結論から言います。 「自分に厳しく測定すること」。これこそが、0回から1回の間にある闇を抜け出し、懸垂達成へ至る最短ルートです。それでは、測定の準備を始めましょう。
まだ、PULLUXの記事を読んでないからはこちらの記事もご確認ください。
【重要】「測定」は全員フルスペック、「練習」は自分のレベルで
解説に入る前に、非常に重要なルールを一つだけ整理させてください。
別記事の「トレーニング・ロードマップ」では、レベルが低い内はトップホールド(あご上のキープ)などの高負荷な練習を推奨していません。しかし、PULLUXの「測定」では全員にトップホールドを求めています。
「矛盾しているのでは?」と思うかもしれませんが、以下のルールに従ってください。
- 測定(週1回): 全員、すべての項目(デッドハング・トップホールド)を全力で行ってください。たとえ結果が「0秒」でも、それが今のあなたの貴重なデータになります。
- 練習(日々): 測定結果に基づいて、自分のレベルに合ったステップだけを練習してください。基礎がない段階で、無理に高負荷な練習を反復してはいけません。
「測定は自分の現在地を知るためのテスト、練習は実力を上げるための訓練」です。これを混同しないようにしましょう。
また、スコアの境目はデジタルな壁ではなく「グラデーション」です。数値は目安にしつつ、自分の感覚と相談しながら柔軟に活用してください。
1. 【基本ルール】測定は「疲労なし・道具なし」のフレッシュな状態で行う
測定は必ず「フレッシュな状態」かつ「補助道具なし」で行ってください。 また、握り方は「順手(オーバーグリップ)」に統一します。
PULLUXは、あなたの「素の身体能力」を測るための指標です。疲労や道具はもちろん、握り方一つで難易度が激変してしまうため、全員が同じ条件で行う必要があります。特に「逆手」は腕の力で耐えやすくなってしまうため、今回の測定では禁止とします。
正確な測定を行うため、具体的には以下の4点を必ず守ってください。
- タイミング: ウォーミングアップ直後の「一番元気な状態」。
- 道具: パワーグリップ等は禁止(素手かチョークのみ)。
- 【重要】握り方: 手のひらが「向こう側」を向く順手で握ります。
- 【重要】手幅: 肩幅より拳一つ分外側を目安に握ってください。広すぎたり狭すぎたりしないように注意します。

条件を一定にし、何も頼らない「自分の身一つ」で挑んでください。
2. 【体重測定】直前の「装備重量」を0.1kg単位まで測る
体重は、PULLUXの測定を行う「直前」の数値を採用してください。また、小数点第一位(0.1kg)まで正確に入力します。
体重はPULLUXにおいて「エンジンの出力を割り算する分母」となる極めて重要な要素です。 例えば、たった500g(0.5kg)の違いでも、計算結果の「0.01」を左右する可能性があります。 昨日の自分よりわずかにでも成長しているかを知るために、四捨五入などの概算は禁止です。
誤差を極限まで減らすために、具体的には以下の基準で測定してください。
- 数値の細かさ: 「約65kg」ではなく「65.4kg」のように、体重計に表示された数値をそのまま入力してください。
- 服装込みで測る: 実際に鉄棒にぶら下がる時の服装(靴含む)で体重計に乗るのがベストです。重力は、あなたの脂肪だけでなく、履いている靴や服も分け隔てなく引っ張るからです。
- 水分量: 500mlの水を飲めば、それだけで0.5kg重くなります。 測定直前のガブ飲みは避け、トイレを済ませてから測るのが理想です。

今のこの装備で、正確に何kgの物体を持ち上げるのか」。その現実の重さを0.1kg単位で入力してください。
3. 【時間計測】脳内カウントは禁止!「動画」や「音」で客観的な秒数を測る
頭の中でのカウントは禁止です。必ず「動画」か「音」による客観的な基準を使ってください。
人間は負荷がかかって苦しい時、時間の感覚が歪みます。自分では正確に「1秒、2秒…」と数えているつもりでも、実際には早口になり、10秒数えても実時間は7秒しか経っていないことがよくあります。 不正確な秒数で計算したPULLUXスコアは、偽りの実力です。また、時計を見ようとして姿勢が崩れるのを防ぐためでもあります。
以下のいずれかの方法で計測してください。
- 【推奨】動画で撮影する スマホで自分を撮影します。これなら時計を見る必要がなくフォームに集中できます。後から見返せば「正確なタイム」や「フォームの崩れ」を冷静かつ厳密に判定できるため、最もおすすめです。
- 【音】メトロノームアプリを使う スマホのメトロノームアプリを「BPM60(1分間に60回)」に設定して鳴らします。「カッ、カッ、カッ」という音に合わせて回数を数えれば、画面を見る必要がなく、リズムも正確です。

あてにならない自分の感覚(主観)は捨ててください。機械が示す「変えられない事実」だけを記録します。
4. 【デッドハング(DH)】肘をロックして「限界までの秒数」を測る(上限60秒)
腕を完全に伸ばし、身体の揺れがない状態で「限界まで」の時間を計測します。ただし、60秒を超えた場合は一律「60秒(満点)」として扱います。
懸垂のスタートポジションである「ぶら下がり」が安定していなければ、身体を引き上げることは不可能です。 多くの人は最初は60秒もできませんが、それで構いません。現在の力を知るための測定だからです。なお、握力大会にならないよう、PULLUXの計算上は60秒でカウンターストップ(上限)としています。
正確に測定するために、以下のフォームを必ず守ってください。
- スタート: ジャンプしてバーを掴むのではなく、台を使って静かにぶら下がります。
- フォーム: 肘は完全に伸ばし(ロックし)、肩の力を抜いて脱力します。足は地面から浮かせ、後ろで組んでも構いません。
- NG動作: 身体を振って耐える、あごを上げて耐える動作は禁止です。

ただの棒のように、微動だにせず耐えてください。手が離れたその瞬間があなたの記録です(60秒経過した場合は、そこで終了して降ります)。
5. 【トップホールド(TH)】あごを浮かせ続け、最後に「コントロールして降りる」
あごがバーの上にある時間を計測しますが、最後に「ドスン!と落ちずに降りられた場合のみ」記録を有効とします。
PULLUXでは懸垂の中間動作(引き上げ)を評価しない代わりに、トップポジションからコントロールして降りる「エキセントリック(伸張性)収縮」ができることを、筋力が足りている証明(担保)としているからです。 また、あごをバーに乗せて休憩するのは禁止です。あごは常に浮かせた状態をキープしてください。
判定を厳密にするため、具体的には以下の手順で実施してください。
- スタート: 台を使い、あごがバーの上に出た位置からスタートします。
- 計測開始: 足が台から離れた瞬間からタイムを測ります。
- 計測終了: あごがバーの高さより下がった瞬間、またはあごがバーに触れてしまった瞬間まで。
- 【重要】終了後: 計測が終わったあと、力を抜いて落下するのではなく、ゆっくりと肘を伸ばして着地してください。 勢いよくドスン!と落ちてしまった場合は、余力が残っていないと判断し「記録は0秒(無効)」とします。

「耐える」だけでなく「コントロールして降りる」までがセットです。この厳しいルールをクリアして初めて、PULLUXのスコアとして入力できます。
6. 【測定頻度】推奨は「週に1回」。テストとトレーニングを使い分ける
基本的には「週に1回」の測定を推奨します。 自分の現在地を細かく知りたい場合は「2~3日に1回」でも構いませんが、毎日の測定は推奨しません。
PULLUXの測定は、制限時間いっぱいまで力を振り絞る「限界への挑戦(テスト)」です。 毎日テストばかりしていても、実力を高めるための「練習(トレーニング)」の時間が取れなければ記録は伸びません。また、疲労が抜けきらないまま毎日測定すると、筋肉は成長しているのに数値が下がってしまうという現象が起き、モチベーションを下げる原因になります。
あなたの目的や回復力に合わせて、以下の基準で頻度を決めてください。
- 【推奨】週に1回(例:毎週土曜日) 最も成長を実感しやすく、疲労も抜けた状態で好記録が出やすいサイクルです。平日はトレーニングに集中し、週末にその成果を試すのが理想的です。
- 【可】2~3日に1回 「どうしても細かくデータを取りたい」という場合はこの頻度までOKです。ただし、前回の疲労で記録が落ちる日があることを覚悟して行ってください。
- 【非推奨】毎日 「1日で劇的な成長はしない」という事実を受け入れ、身体を休ませてあげる勇気もトレーニングの一部です。

「体重計」のように毎日乗るのではなく、「定期テスト」のように万全の状態で挑んでください。
まとめ:週1回の厳密な測定で、懸垂達成までの成長を可視化しよう
記事のポイントを振り返ります。PULLUXで正しい数値を出すための「厳密なルール」は以下の4点です。
- 基本原則:フレッシュな状態で、道具(パワーグリップ等)には頼らない
- 体重:「直前の装備重量」を測る
- 時間:動画やメトロノームで「客観的」に測る(脳内カウント禁止)
- 動作:DHは揺らさず60秒上限、THは「ゆっくり降りる」までがセット
測定は「週に1回」がおすすめです 早く成果を知りたくて、毎日測りたくなる気持ちは分かります。しかし、限界まで耐えるこの測定は身体への負担が大きく、毎日行うと疲労で逆に数値が下がってしまうこともあります。
「週に1回、決まった曜日に測定する」のが、疲労を抜きつつ成長を確認できるベストな頻度です。
厳しいルールだと感じるかもしれません。しかし、この基準で算出された数値が「0.01」でも先週より上がっていれば、それはまぎれもなく、あなたの筋肉が成長し、懸垂達成へ近づいた「真実の証明」です。

さあ、ルールは理解できましたか? それでは、PULLUX計算機を開いて、あなたの現在地を確かめてみましょう。
今の懸垂力を数値で確認してみましょう。



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