【これだけ見ろ!】懸垂力を可視化する唯一の指標「PULLUX」

  • 「あとどのくらいトレーングすれば懸垂が達成できるのか分からない」
  • 「トレーニングの成果が出ているのか分からない」
  • 「1ヶ月でできると聞いていたが妥当な目標なのか」

懸垂は、「0回(できない)」か「1回(できる)」かの二択しかありません。

「ぶら下がるだけで精一杯の0回」や「バーまであごがもう少しの惜しい0回」があるにもかかわらずです。

自分は今どのくらいの力があるのか分からない。この0回から1回の間にある無限の闇は多くの人を挫折させます。

自分には今どのくらいの力があり、懸垂達成までどのくらいの力の上積みが不明な状況にもかかわらず「1ヶ月で達成できるようになる」といった無責任な情報が追い打ちをかけます。

この期間設定には根拠がないだけでなく、いたずらにあなたに期限が迫るプレッシャーをかけます。

そこでこの記事では、あなたの懸垂力を可視化する「PULLUX」を説明します。

このPULLUXは、あなたの懸垂力を可視化します。自分の成長を数値の変化から知ることも可能になります。また、明確な数値目標を設定することができ進捗を管理できることにも繋がります。

SUZUKI20
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懸垂を達成させるためには、根性論や期間設定ではなく、自分の現在の懸垂力を可視化し、進捗管理することが必要です。

懸垂の力を可視化するPULLUX

PULLUXとは、懸垂力を可視化するために、独自に作成した指標です。

計算式は以下のとおりです。

体重、筋力、属性の3つの要素をもとにあなたの現在の懸垂の力を示し、その数値が「1.0」を超えた時に懸垂が成功する可能性が高いと判定します。

一見複雑に見えますが、非常にシンプルです。「筋力」を「体重」で割って、「身長と性別」の補正をかけているだけです。

SUZUKI20
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また、PULLUXはすべての懸垂達成に挑戦する方が、簡単に使えることを考慮して作成しただけでなく、物理学に基づいた公平な補正をかけている指標です。

以降、計算式を構成する①分母の体重、②分子の筋力、③補正の3つに分け、なぜこのような計算式になったのか説明します。

①分母の体重:BMIではなく「体重」(Weight)を見る

計算式の分母は、体重です。

多くの健康指標はBMI(体格指数)を使いますが、PULLUXではあなたの「体重」を使います。

それは、重力はあなたの身長や体型には興味がないからです。あなたのことを「何kgの物体か?」ということだけを見て、地面へ落としてきます。

体重が軽い人は「小型のセスナ機」、体重が重い人は「巨大なジャンボジェット機」です。ジャンボジェット機が空を飛ぶためには、セスナ機よりもはるかに巨大なエンジンが必要になります。

そのため、懸垂達成を判定する指標であるPULLUXではあなたの体重を使い、その体重に見合ったエンジンがあなたにあるか判定します。

SUZUKI20
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分母に体重があるということは、「体重が減るだけで、数値が向上する」ことを意味しています。重い人にとって食事管理で1kg痩せることは、苦しい懸垂の練習を何時間もやるのと同じくらいの効果があることが期待できます。

②分子の筋力:「デッドハング」と「トップホールド」で評価

計算式の分子は、筋力、つまりあなたのエンジンの強さです。

「デントハング」と「トップホールド」の2つのテストの値を合計しますが、点数の配分(価値)が大きく異なります。

どちらのテストもあなたの真の力を計測するため、パワーグリップは外して行います。

「デッドハング(DH)」:鉄棒にぶら下がることのできる秒数を計測する

基礎点扱いのため配点は低く設定されています。ただぶら下がるだけでは身体は上がらないからです。ぶら下がった秒数に係数0.1を乗じた数値が点数になります。

また、握力だけある人がぶら下がりだけで点数を稼げないように60秒を上限にしています。

「トップホールド(TH)」:あごをバーの上でキープできる秒数を計測する

懸垂に直結する重要な筋力のため配点は高く設定しています。あごをバーの上でキープできた秒数に係数1.8を乗じた数値が点数になります。

また、「トップホールド」だけ得意でミドルが弱いレアケースを排除するため「ドスン!と落ちずに、ゆっくりコントロールして降りられた場合」のみ、その記録を有効とします。

懸垂動作の中間を評価する情報は「トップホールド」でカバー

分子に、「デッドハング」と「トップホールド」があり、懸垂の動作における始まりと終わりがあるにもかかわらず、PULLUXには中間の動作を評価する情報がありません。

本来は斜め懸垂の回数などを含むべきですが、以下のデメリットがあるため採用しませんでした。

  • 数値の信憑性が低下:身体の角度やバーの高さで負荷が激変しする可能性がある
  • 計算式の複雑化:入力項目が増え気軽にPULLUXを算出できなくなる可能性がある

懸垂動作の中間の動作を評価する項目がないことをカバーするために、トップで余裕で耐えられるくらいの強度がないと実動作では失敗するとみなしています。

「トップホールド」は、筋肉が最も収縮し、力が出しにくい位置です。 ここで「10秒以上耐えられるほどの出力がある人は、物理的にミドルポジションを通過する力(加速力)も備わっている確率が極めて高いと考えられます。

③補正:女性や高身長の不利を補正する

PULLUXは、あなたの体重や筋力の数値だけで算出しません。あなたの性別や身長を考慮して数値を算出します。具体的には、高身長の人は物理的に、女性の人は生物学的に懸垂を行うことは不利という事実を数値に反映させます。

高身長の人は物理的に不利

身長180cmの人は160cmの人より長い距離を引き上げ、長いテコで耐えなければなりません。PULLUXでは高身長の人ほどスコアが出にくくなるように補正がかかっています。身長が伸びると、筋肉の負担が急激に増えるという物理法則を再現するためです。

まず、170cmの人を基準として補正をしています。

  • 170cmの人:170/170=1 (補正なし)
  • 180cmの人:170/180=0.94 (スコアに0.94を乗じるので不利)
  • 160cmの人:170/160=1.06 (スコアに1.06を乗じるので有利)

しかし、これだけでは足りません。現実はもっと残酷です。

身長が伸びると、懸垂の難易度は比例ではなく指数関数的に跳ね上がります。

長いスパナを使うとボルトが軽く回るように、距離が長いと力は増幅されます。懸垂の場合、これは逆に働きます。腕が長いと体重が同じでも筋肉にかかる負担は激増します。

また、身長が高い人は、顎をバーに乗せるまでの移動距離が長いです。小柄な人は30cm上げればいいところ、長身の人は40cm引き上げる必要があるかもしれません。

そのため、単純な割り算だけでは補正しきれないため、1.5乗してペナルティを重くしています。

具体的に、180cmの人が受けるペナルティを比較してみます。

  • 単純な割り算だけでは、170/180=0.94なので、6%くらいのペナルティ
  • 1.5乗のハンデを加えると、(170/180)1.5乗=0.91なので、9%のペナルティ

背が高い人の懸垂ができないのは、甘えではなく「物理的に不利」という事実を数値に反映させています。

SUZUKI20
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高身長でPULLUX1.0を超えた人は本当に凄まじい筋出力を持っていることの証明になります。

女性は生物学的に不利

PULLUXでは女性のスコアに係数0.8を乗じて20%減させます。

これは意地悪ではありません。 むしろ、「女性が懸垂を1回成功させることが、どれほど生物学的に凄いことなのか」を、物理学の視点から正確に評価するための処置です。 なぜ女性には「係数0.8」というハードモードが適用されるのか。その科学的理由を解説します。

残酷な現実ですが、男女の筋肉量には明確な偏りがあります。運動生理学の研究(Janssen et al., 2000など)によると全身の筋肉量において女性は男性よりも約33~40%少なく、特に上半身においてはその性差は顕著であるとされています。

つまり、女性はスクワットなら男性に近い勝負ができても、「懸垂」になった瞬間に、男性の半分のエンジンで同じ体重を持ち上げるような過酷なハンデ戦を強いられます。

そのため、同じ体重・同じぶら下がり秒数だとしても、実際に身体を引き上げるための「基礎エンジン」の出力が異なるため、判定を厳しく補正する必要があります。

この係数は、あなたを挫折させるためのものではありません。 「女性が懸垂をする難易度は、男性とは次元が違う」という事実を証明するためのものです。

もしあなたが女性で、この厳しい補正(×0.8)を乗り越えてPULLUX「1.0」を叩き出したとしたら。 それは単に「懸垂ができる」以上の意味を持ちます。

生物学的なハンデを、努力と技術と食事管理で完全に覆した。 その証明書が「1.0」です。

SUZUKI20
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道のりは男性よりも険しいですが、不可能ではありません。 焦らず、男性と比べず、自分のPULLUXを0.01ずつ積み上げてください。その先には、重力から解き放たれた美しい身体が待っています。

係数2.7は合格ラインを「1.0」に揃えるための翻訳機

最後に、なぜ「2.7」を乗じるのか説明します。

結論から言えば、合格ラインを「1.0」にするために調整を行なっているからになります。

もし、この「2.7」がなかったらどうなるか、以下の人で計算してみます。

  • 体重:65kg
  • デッドハング:60秒
  • トップホールド:10秒
  • 男性で170cmなので補正はなし

この人を「2.7」なしで計算すると「0.37」になります。

これでは直感的に分かりにくいと判断しました。「あと少しでもできる!」というときに「あなたのスコアは0.37です」と言われても、それが良いのか悪いのか判断できません。

ゴールを明確にしたかったということです。「1.0」を超えたら懸垂が達成できるとそう定義できれば目標として非常に分かりやすくなります。

まとめ

PULLUXはあなたの懸垂力を可視化するための指標で、以下のような特徴があります。

  • 分かりやすい:指数が「1.0」を超えた時に懸垂が成功する可能性が高いと判定します
  • 使いやすい:簡単に算出できるように、入手しやすい数値だけを用います
  • みんな使える:女性や高身長の不利を補正します

このPULLUXは、多くの人を挫折させる、0回から1回の間にある無限の闇を照らし、あなたの懸垂力を数値化します。

この懸垂力の数値化は、あなたに成長を可視化させるだけでなく、ゴールへの距離感を把握することに必ず役立ちます。

SUZUKI
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懸垂達成には、根性や根拠のない期間目標は必要ありません。必要なのは0回から1回の間にある闇をなくすこと。すなわちあなたの懸垂力を可視化することです。

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